ラストベルト

某日本のテレビ番組ではラストベルトとしてIndianaにフォーカスし米国白人労働者の解雇によりそれがトランプ支持基盤という内容のものでした。ただIndianaの失業率は4%で失業率は低い水準で、とても仕事不足だとは思えないのが”総論”です。一方で失業問題はその地域での個別問題で、いわば”各論”にあたると思っています。総論と各論では当然利害の衝突は発生します。お墓はいるけど、でも自分の家の横に墓場を作ってほしくないって思いますよね。いかにもIndianaがラストベルトの象徴で仕事がまったくないような印象を受ける番組つくりに疑問を感じますね。一部だけを切り取って特集を組むのは、それも事実ですが、失業率４％であるのも事実です。全米の失業率が５％程度と思いますが、すべてがドランプに投票してもとても当選はしないんですよね。トランプはラストベルが作ったという短絡的なロジックではなく、労働者以外の人たちの票が大きいとこにもフォーカスして分析すべきと思います。製造業のみの個別の失業率はどの程度かは検証していませんので、ここの失業率が全米平均の5%を大幅にこえる２０－３０％あるのかもしれませんが、、、。

各町、村に雇用を守るために必ず工場があるなんて期待をすることは無理です。仕事があるところに引っ越すことは仕方ないですよね。今の土地は動きたくない、でも失業したら仕事がなくなり生活できなくなる、って会社は役所ではないので終身雇用じゃないのに。雇用を守った結果会社がつぶれれば雇用は自動的になくなります。失業すれば自分を成長させて努力するより、組合や弁護士をかつようして保身をしたいという根本的な思想を持っているように感じます。企業で働いているうちに、自分の仕事は労働集約だからいずれなくなるかもという危機感がなく、なんとかなるとおもっていたことのつけがまわっただけで自業自得だと思うんですよね。

Walmartの製品をすべて米国で作らせて比較優位を無視しコストが高くてもよいことを労働者が受け入れれられるのかです。各論を積み上げれば総論は一切の製造品はすべて米国内で作り米国人すべてに雇用を保証することを目指すことになると思います。総論と各論のせめぎあいの結果が今回ラストベルトからの支持をトランプが受けた要因の一つだと思います。これが要因の所詮一つです、それが主な要因とはとても思えないです。

メキシコへ行けば安い労働者で企業は製造コストが安くなる。米国労働者はそれで仕事を失う。では彼らは中国製品ではなく１００ドルもする米国製のジーパンを好んではくのですかね？一切外国部品を使っていない米国国産車だけを乗りますと宣言できるのですかね？買い物をするときは比較優位の恩恵を受け安いものを購入し、仕事になると安い労働賃金はゆるさん、って矛盾だらけの気がします。４０１Kで株に投資している労働者も多いと思います。株価の上昇を期待しているはずです。株価は会社の業績です。利益を上げるためにメキシコ移転の結果株価が上昇する企業もあるでしょう。株価は上がらなくても自分の雇用がほしいのでしょうか？株価も上がってほしい、日常生活品はメキシコ品や中国品で恩恵を受けたい、でも自分の仕事だけは守ってほしい、賃金も上げてほしいってあり得ない世の中だとおも思うんだけど。労働者は同時に消費者でもありますよね。だからいつまでたっても労働者なんじゃないでしょうかね。彼らが譲歩できるのはなんなんでしょうかね。そういう舵取りを米国が目指すべきという消費者としての覚悟があるのでしょうかね。

各論と総論の矛盾は時間軸の差でもあるとは思います。いずれメキシコの賃金は上昇し米国水準になれば輸送費に目が行き、米国内へ工場移転となります。それは今失業の問題を抱えている人には時間軸が長すぎますよね。メキシコの賃金があがり米国へ工場がもどるまで待てないですからね。

所詮工場をメキシコ移転へしなくても、自動化により人員は削減されるので、企業には結論は一緒で手法を変えただけですよね。自分が付加価値のあるよう自分を成長させるしかないですよね。政府は工場移転を止めるのではなく、雇用を創出する新たな価値を生み出す企業を後押しする政策が必要だと思います。工場労働者に時給２５ドルも払えば一日２００ドルで週休１０００ドル。年収５２０００ドル。こんなラインの労働者なんて高すぎだと個人的には思います。夫婦で部品の組み立てだけにこんなに給与を払ってくれるんですかね？工場で毎日９時から５時で８時間働き部品の組み付けだけで夫婦で合算１０万ドル（１０００万円）も稼ぐんですか？これに会社が８０％近い保険料金を別途負担するんですよ。４０１K で給与額面の４－５％（年間別４０００ドルから５０００ドル）を別途負担するんですよ。

人に能力の差があり工場労働者として働けないなら所得も低くなります。アメリカは資本主義社会ですからね。嫌なら社会主義を目指す大統領を選ぶしかないですよね。生まれた国が残念ながらアメリカで資本主義社会が存在して、その中で適応するしかないじゃないですか。中国ですら国がすべての雇用を守るような社会体制ではないですよ。ロシアもそうですよ。この世の中昔の計画経済の国なんかないと思うんだけど。もしかしたらあるかもしれませが、、、、。

他人に自分の不幸の原因をもとめるのは楽ですよね。そろそろ他力本願を根本的に改めてほしいですよね。